千五百年の記憶を継ぐ、熊野の姿寿司
熊野灘に面した和歌山県新宮市には、千五百年以上の歴史を持つ郷土料理「さんま寿司」が受け継がれてきました。冷蔵技術のない時代、豊富に獲れるさんまを塩と酢で締め、保存と美味を両立させた生活の知恵。徐福寿司の「さんま姿寿司」は、その文化を今に伝える一品。頭から尾まで一匹を丸ごと用いる姿は、祭りや祝いの席を彩ってきた“ハレの日のごちそう”そのものです。
手間を惜しまぬ背開きと、一晩の熟成
最大の特長は、腹の旨味を生かすための「背開き」。腹骨を一本ずつ手作業で取り除き、なめらかな口当たりを実現しています。伝統的な技で塩と酢で丁寧に締め、一晩寝かせることで味をなじませ、旨味を引き出します。秘伝の合わせ酢と酢飯、さんまの脂が三位一体となり、噛むほどに奥行きある味わいが広がります。
無添加で仕上げる、一本の完成度
保存料・着色料は一切不使用。素材の力と職人の経験だけで成立させるのが徐福寿司の流儀です。熟成酢のまろやかな酸味に、仕上げの柚子酢が清々しい余韻を添え、食後感は驚くほど軽やか。派手さはなくとも、一本の寿司に熊野の海、暮らし、時間が折り重なる——和歌山から全国へ届けたい、静かな存在感を放つ郷土寿司です。
