近大キャビア
30年の研究が生んだ
国産フレッシュキャビア
―近畿大学が描く水産研究の未来―
株式会社アーマリン近大


和歌山県には、近畿大学水産研究所による30年以上の研究の積み重ねから生まれた、希少な国産キャビアがあります。
和歌山県新宮市にある近畿大学水産研究所では、チョウザメの完全養殖や品種改良に取り組み、その成果を生かした「近大キャビア」を開発しました。
研究機関だからこそ実現できた品質へのこだわりと、和歌山から世界へ新たな食文化を発信する挑戦。
その歩みをご紹介します。
実直な研究が生んだ、和歌山ブランドキャビア

世界三大珍味の一つとして知られるキャビア。「近大キャビア」は、採取したての魚卵を岩塩のみで仕上げ、加熱も防腐剤も用いない製法が特徴です。一般的な海外産キャビアとは一線を画す、透明感のある旨みと、口の中でとろける食感を実現しました。
第一回和歌山一番星アワードに認定されている「近大キャビア」には、オオチョウザメ(ベルーガ)とコチョウザメ(スターレット)を掛け合わせた交雑種「ベステル」の卵を使用しています。口に含むと生キャビアのとろける食感と卵本来のクリーミーなコクと余韻が広がります。

塩分は約2.5〜3%と控えめ。一般的な海外産キャビアが保存性を高めるために約8%と高めの塩分で仕上げられるのに対し、「近大キャビア」は防腐剤に頼らず、魚卵本来の繊細な旨みと口どけを引き出しています。
そのため、無塩クラッカーや無塩バターと合わせる従来の食べ方だけでなく、オリーブオイルや素材を生かしたシンプルな料理とも好相性です。
これを手掛けているのが、近畿大学水産研究所です。
研究所では、チョウザメの生態や自然のリズムを尊重しながら、魚にとって無理のない環境で育てることを徹底しています。その考え方が、キャビアの極めて高い品質と味わいにつながっています。
和歌山の自然と向き合う養殖技術

30年以上にわたる研究の中で、近畿大学水産研究所がたどり着いた答えの一つが、「自然のリズムに逆らわない」という養殖です。
チョウザメは、新宮の豊かな自然に囲まれた研究施設で飼育されています。
飼育水には、熊野川の支流の伏流水を使用し、四季の移ろいを感じながらゆっくりと成長していきます。
「水温の管理は最低限にしています。冬の寒さを経験することで、良質な卵を育むからです。自然のサイクルを受け入れることが、結果として一番おいしいキャビアにつながるんです」

一方で、人工的に管理するものは徹底する、それも研究所として大切なことです。
魚の状態や成長を日々観察しながら、給餌や飼育環境を細かく管理。研究機関だからこそ蓄積できたデータと、現場で魚と向き合う経験の両方を生かし、一尾一尾を丁寧に育てています。
さらに加工工程では、防腐剤や加熱殺菌に頼らず、安全性とおいしさを両立するため、アルカリ電解水による洗浄やクリーンルームでの加工など、独自の厳格な衛生管理を徹底。マイナス40℃での急速冷凍することにより、低塩分ならではの繊細な品質を保ちながら、長期的な保存も可能にしました。
研究を和歌山から世界へ届ける

近畿大学水産研究所では現在も、より効率的で持続可能な養殖技術の確立に向け、新たな研究を続けています。
その1つとして、「交配すると生まれてくる子がすべてメスになる“超メス”」の確立と管理にも取り組んでいます。こうした成果は、世界的な養殖分野の学術誌『Aquaculture』にも掲載されるなど、国際的にも評価されています(2025年、2026年掲載)。
今後は販路の拡大も見据え、コチョウザメ(スターレット)のキャビアを展開していく予定です。
今回、「和歌山一番星アワード」審査委員特別賞を受賞したことについて、研究所では「30年以上続けてきた研究が、このような形で地域の皆さんに評価していただけたことを大変うれしく思います。これをきっかけに他府県にも広がっていけばうれしいです」と語ります。
和歌山の豊かな自然と、30年以上積み重ねてきた研究を多くの人に知ってもらい、県内のホテルや飲食店、ふるさと納税などを通じて、和歌山を訪れるきっかけとなる新たな地域ブランドへ育てていきたいと、今後の展開へ意欲をみせてくれました。

